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120. いっぴきおおかみ 4
ルカスはショックを受けていました。かれのさい高のちょうこく作品は、ふみつぶされ、地面に落ちていたのです。もう、しょうを取ることなどできません。いっぴきおおかみのルカスは、「自分にも何かができるんだ」ということを、他の人にしめしたかったのです。でも、かれのげいじゅつ品はもうこわされ、台なしになってしまいました。
ルカスはアネットをうたがいました。でも、それをしょう明することはできませんでした。
ルカスは前よりもっと、自分の育ったスイスの山に登ることが多くなりました。一人で丸太にすわり、木をほりました。
男の人: 「君、上手に木をほっているね。」
ルカスはおどろいて後ろをふり返りました。それは人里はなれた山小屋に住むおじいさんにちがいありません。村ではその人のことを、とてもなぞにみちた人だと、みんなが話します。しかしその人のやさしそうな目を見て、ルカスはその人に親しみがわきました。
男の人: 「いっしょにおいで、わたしの木ぼりを見せてあげよう。」 (ドアがしまる)
ルカス: 「すごい!このちょうこく、あなたがほったんですか?」
男の人: 「いつか君にもできるよ。もしかしたら、だれかお友だちのために。」
ルカス: 「ぼくには友だちなんていません。」
男の人: 「それじゃあ君はきっと、一人ぼっちなんだろうね。どんな苦しみをかかえているのか、わたしに話してくれるかい?」
ルカス: 「ダニは、足が悪いんだ。みんな、ぼくがあいつを谷間に落としたと思っている。みんなぼくのことをきらっているんだ。一番は、アネットがね。それで、ぼくもアネットをきらっているんだ。」
男の人: 「ぼくたちは人生の中で、たくさんまちがいをおかしてしまう。ぼくもだ。ぼくは、お酒やギャンブルで、たくさんしゃっ金を作ってしまった。そして銀行でお金をぬすんでいる所をつかまえられたんだ。もう終わりだったよ。」
ルカス: 「すごくさみしいの?」
男の人: 「それもある。でもろう屋から出た時、わたしはイエス様といっしょに新しい人生を始めたんだよ。」
ルカス: 「親せきはいるんですか?」
男の人: 「ぼくのつまは、もう生きていないよ。ぼくの二人の息子たちは、ぼくが、もう死んだと思っている。一人はビジネスマンで、もう一人はけがをした人たちがまた歩けるようになるように、今までにおおぜいの人たちを助けて来た有名な外科医だ。かれは今、村のふもとのホテルにいる。」
ルカスに、次つぎと考えがうかんで来ました。 かれがどんな計画を立てていたか、わかりますか?
そのおじいさんは、かれの手をやさしくルカスのかたにのせました。
男の人: 「ルカス、君はわたしに、君の心配事を話してくれたね。君も、主イエス様に君のにくしみについて話し、すべてのことがまたよくなるように、おねがいしてみたくはないか?」
ルカスのほおになみだが流れましたが、かれはそれをはずかしいこととは思いませんでした。かれは主イエス様にゆるして下さいとおねがいしました。するとルカスの心は、すべての悪いものからきれいになりました。そんなかんたんなことなのです。ルカスにだけでなく、あなたにとってもです。
それから、アネットは?次回はアネットのことが聞けるでしょう。
登場人物: 語り手、ルカス、男の人
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